序曲:神と人間の物語
序曲
神と人間の物語
初め無きはじめ・・
宇宙には・・
唯一の神が存在していました
その神は・・
何一つ憂いのない・・
満ち足りた生活をしておりました
でも、ある時フト思いました
「私はすべてに満ち足りている
幸せ一杯である
だが・・
そのことは私しか知らないのだ・・
それでいいのか?」
また、こうも思いました。
「私は、現に存在している
だが・・
そのことを知っているのは私だけである
私だけが私の存在を知っていて一体何になるのだ?」
そのことに気づいた神は表現の世界を創り
そこから自分の存在を認めてもらおうと考えたのです
神の意識が四方八方に放射され・・
宇宙の創造劇が開始されました
神は・・
真・善・美を最高の目標とし
思いの丈をキャンバス一杯に表したのです
地上は・・
それはそれは神々しく輝いていました
気候は穏やかで草花は一年中咲き乱れ
そこには蜂や蝶が乱舞していました
それはまさに・・
地上天国そのものでした
たしかに地上は美しかったが・・
彼らは創造主の私を認識しようとしません
これでは・・
以前と何も変わらないではないか?
神は考えあぐねた末、思いたちます
「そうだ!
私の分身を地上に降ろし、私を認知してもらおう!」・・
こうして人間は地上に出現することになったのです
地上に降り立った人間は感嘆の声を上げます
「何と素晴らしい世界だ!!
何と神は偉大であろう!」と・・
人間は・・
神の偉大さをしみじみと噛み締めるのでした
人間は当初・・
神の自覚があったため・・
神と変わらぬ生き方をしておりました
しかし・・
地上に慣れ親しむうちに物質の虜になり
いつしか神の分身であることを忘れてしまったのです
自他の意識が芽生え自我が膨らみ始めます
自分だけが!
家族だけが!
部族だけが!
といった排他的精神が蔓延しはじめます
縄張り争い!
物の奪い合い!
戦争がはじまります
今まで穏やかだった地上界は・・
こうして争い多い世界へと変わっていったのです
自然界にも変化が現れはじめます
「酷寒と猛暑が巡るようになります」
「暗雲が空を覆うようになります」
「海は騒ぎ、地は唸り、山は火を噴き、
嵐が襲いかかるようになります」
不安と絶望・・
苦しみと悲しみが人々を襲いはじめます
でも・・
神はこうなることを予測し
因果の法則の中に自らを留め
人間が目覚めるように配慮していたのです
人間は気付きはじめます
「なぜ苦しいのだろうか?」
「なぜ悲しいのだろうか?」・・・
やがて人間は・・
その苦しみや悲しみの中から
本当の自分を思い出します・・
私は人間ではなかった!
神の子だったということを・・
自分を思い出した途端・・
神は人間を通して現れます
誠が返ってきました・・
正義が取り戻されました・・
美が輝きはじめました・・
こうして再び地上界は・・
喜び多い天国へと変容するのでした
これまでこの宇宙で・・
どれほどのドラマが生まれたことでしょうか?
そして今・・
どれほどのドラマが進行中でしょうか?
それを考えると・・
気の遠くなるような思いがします
楽しいドラマ・・
悲しいドラマ・・
感動的なドラマ・・
退屈なドラマ・・
どれ一つとっても同じ筋書きのないドラマを・・
神は懸命に演じています
自分が神だとも知らないで・・
自分が神だとも知らないで・・
知らないで・・