仏教語に「色即是空・空即是色」という難しい言葉がありますが、その意味は小学生にでも分かるやさしい内容なのです。
どんな物にも色が着いていますから見えます。でも空気は色が着いていないので見えません。だからお釈迦様は、見える物を「色」と呼び、見えないものを「空」と呼んだのです。でも、見える物と見えないものは同じものなのです。なぜなら、見える物は見えないものでできているからです。しかしそうはいっても、なかなか一般人に理解してもらうことができない、そこでお釈迦様は分かりやすく、色の着いた物を「色」と表現し、無色透明なものを「空」と表現したわけです。お釈迦様は、実にうまい表現をされたものだと思います。
さて、形ある見える物の背後には、必ず形作っている本質があります。その本質は見えないのです。その見えない本質のことを、現代人は原子と呼び、お釈迦様は空と呼んだわけです。
原子は見えません。その見えない原子が、見えるすべての物を生み出しているのです。だから、人間も万象万物も空です。原子です。原子が分子化し、様々な形に化身したのです。すなわち、「空」が様々な「色」に化身したのです。その空も原子も生命の別名ですから、この表現の世界は物質の世界であると同時に、生命の世界(空の世界)でもあるのです。その生命が様々な色を着け形を取って、表現の世界に出てきたのです。色も形も様々ですが、その中身はみな同じ生命なのです。だから人間も万象万物も生命です。
その生命は、この宇宙にたった一つしかありません。ということは、あなたは私ではありませんか?。万象万物は私ではありませんか?。だからお釈迦様は、「他人を自分の如く愛しなさい!、すべての物を自分の如く愛しなさい!」といわれたのです。一つしか無いということは、私しかい無いということですから、私が他人を愛し、私が万象万物を愛するのは当然ではありませんか?
さあ今日から、何を見ても、何を聞いても、何を味わっても、何を嗅いでも、何を触っても、私と思って下さい。
愛を育むコツは、「色即是空・空即是色」を正しく理解することです。すべての物は、「空(生命)から生まれた兄弟姉妹なのですよ!」ということを理解することです。
もうひとつ、お釈迦様は「この世は無常の世界である」ともいっておられます。無常の世界とは、常ならぬ世界、変化する世界、すなわち幻の世界という意味です。形ある物は、みな消えて無くなってしまうからです。「色褪せる」という言葉がありますが、「色」つまり「物質」は「褪せ」てしまうものなのですよ!、無常なるものなのですよ!、消えて無くなるものなのですよ!、といっているわけです。だから「色」は、つまり物質は、実在するものではないのです。
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