その夜真美は、自分の心に“ごめんなさい! もう二度とウソをつきません! ”、って何度もあやまりました。
チュウリップの花にも、ウイリーにも、先生や友達にも、パパやママにもあやまりました。
その日をさかいに、真美に笑顔が多く見られるようになりました。もちろん、もうウソなどつきません。そのせいか、真美を見る皆んなの目がかわってきました。
ある日真美は、先生に呼ばれました。
" なんだろう? きゅうこんのことかしら? "まだチュウリップは咲いているから、きゅうこんは返すことができません。
「ああ真美ちゃん、こちらにいらっしゃい! 」
「あの先生、チューリップのきゅうこんはまだ返せないんですけれど… 」
「そのことじゃないの。あなたに聞きたいことがあるのよ! 」
先生は、真美の目の前にあるものを差し出してそういいました。
「これ、あなたのじゃない? 」
先生が差し出したのは、真美がなくしたスケッチブックでした。
「あなたの隣の由美さんが、届けてくれたのよ! 」
「高田さんが?…」
右隣に座っている高田由美さんは、いつも真美のことをジロジロ見るので、あまり好きじゃありませんでした。でも、その由美さんが届けてくれたなんて・・・。
ウイリーのいっていたことは、本当だったんだ! 良いことをしたら良いことが返ってくるんだ!・・・。
真美は、先生からスケッチブックを受け取ると、いそいで教室に戻りました。由美さんにお礼をいうために・・・。でも真美は、由美さんの顔を見てもお礼がいえませんでした。
真美は学校から帰ると、飛ぶようにウイリーに会いに行きました。
「ウイリー! 見て! スケッチブックが返ってきたわ! 」
そんな真美のはずんだ声に、ウイリーはすぐに顔を見せました。
「よかったね真美! 僕のいっていたこと、うそじゃなかっただろう。真美がうそをつかなくなったから、返ってきたんだよ! 」
そういうウイリーも、とてもうれしそうでした。でも、すぐにまじめな顔になると、こういいました。
「真美には、まだやることがあるだろう。さあ、行っておいで! そしたら、もっと良いことが起きるかもしれないよ! 」
それは教室ではいえなかった、由美さんへのお礼のことでした。