学校の花だんに植えられているはずのきゅうこんが、今、真美の部屋のはち植えに植えられていました。"元気に、きれいに咲いてほしい。"心にちょっと痛みを感じながらもそう願い、真美は植えおわったきゅうこんに水をあげました。
その日から真美は、学校の花だんのチューリップと、自分の部屋のはち植えのチューリップを見るのが楽しみになりました。どちらのチューリップも、かわいらしい芽を出したかと思うとグングン育ち、あっというまにつぼみをつけました。
でも、学校のチューリップのつぼみはもう花が咲きそうなのに、なぜか真美のチューリップのつぼみは固いままなのです。
真美は毎日学校から帰ると、チューリップに水をあげ話しかけました。
「ただいま! チューリップさん。早くきれいな花を咲かせてちょうだいね!」
そんな毎日が続き、やがて学校のチューリップは、美しく花を咲かせました。まるで、"ありがとう! おかげさまでこの世に生まれることができました! "、と喜んでいるかのように・・・。でも真美のチューリップは、つぼみを固く閉ざし、まだ咲きそうもありません。まるで咲きたくないといっているかのように・・・。
"なぜ? なぜなの?・・・毎日お水もあげているし、お日様の当たる窓辺に置いているし、夜は寒くないようお部屋の中に入れてお世話しているのに・・・"
真美の頭の中で同じ言葉が、ぐるぐると回るのでした。
でも、どうしたら咲いてくれるのか、いっしょうけんめい考えたけどもわかりませんでした。